俺が進学したのは都内の中堅の高校だった。

第一志望に落ちたため、あまり本意ではなかった。

この学校はスポーツがそこそこ強い学校で、校風もあまり悪くないことから、スポーツも勉強も頑張りたいと言う志を持った人間がごまんといることを事前に知っていたからだ。

また、制服がおしゃれと言う理由から、女子もその類の層が集まっていた。

「俺には絶対に合わない・・・」

その予感は的中した。

端から端までイケイケだ。

中学時代はイケイケの部類だった友達も何人かいたが、そいつらも満遍なくその新しい波に飲み込まれるほどだった。

「無理だ。。。マジで無理だ。。。」

退学も真剣に考えた。

だが、その心配をよそに、事態は思いもよらない方向へ進むことになる。

この学校は入学後すぐに泊まりで校外学習へ行くのか恒例だった。

入浴時、ズボンを脱いだ俺を見てサッカー部のイケイケが爆笑して叫んだ。

「マジウケる(笑)こいつブリーフなんだけど(笑)」

俺は当時、着るものに全く無頓着だったため、高1でまだブリーフを履いていた。

周りも大爆笑。

俺がブリーフを履いているという話は即広まった。

それ以来、俺はブリーフと言うあだ名を付けられるハメになった。

普通の人は嫌がるあだ名だと思う。

だが、俺は不思議とこのあだ名が気にならなかった(気に入っていたわけでもないが)。

それからと言うもの、俺はブリーフと言うあだ名と共に、みるみる周囲からいじられる存在になっていった。

こう言ったポジションは未経験だったため、どのように立ち回ればいいかわからない。

だが、いじりに対してとりあえず反応しなければならないと俺は必死だった。

そうしているうちに、頑張らなくてもいじりに対してさらりと対応できるようになっていった。

こうして、ブリーフをきっかけに、俺は高校3年間で「いじられキャラ」と言う不動のポジションを完全に確立したのだった。

しかし、いじられキャラの人はお分かりだろう。

いじられキャラと言うのは男の間では重宝されるが、女子には基本的にごみ扱いされる。

あの出川でさえ、あれだけ笑いを取っても、結婚したくない芸人ナンバーワンを長年維持し続けたのだ。

「あいつマジでキモいよね」

結局、高校でも女子から影口を言われ続けた。

席替え、グループ決めの時、「あいつとはマジで組みたくない」と避けられた。

高校生と言えば思春期真っ只中。

女子が放つ悪口は本当に心をえぐる。

イジリ役のイケイケの男たちは皆彼女が出来ていく。

「昨日セックスしてさ~(笑)」

なんて話も日常茶飯事だった。

自分はいじられるしか脳がない、魅力の無い男であると言う事実を突き付けられているようだった。

中学から俺は変わったはずだった。

だが、対女にしてはただひたすらに自信を喪失し、ますます女と話すのが怖くなっていった。

高校三年間で女子と話した経験?

もちろんゼロだ。

〜続く〜